東方美人茶(とうほうびじんちゃ)・香檳烏龍茶(シャンピンウーロンちゃ)
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「東方美人」は台湾を代表するウーロン茶の一つです。この東方美人の誕生には、ある被害がかかわっています。19世紀の中ごろ、茶畑が多い新竹で、害虫のウンカが大発生しました。この害虫の被害で使い物にならなくなった茶葉(ちゃば)を製茶してみたら、蜜のような甘い香りがして、すぐさま評判になりました。これが「東方美人」の誕生でした。お茶の葉がこの害虫の分泌物(ぶんぴつぶつ)で二次代謝を起こし、独特の香りや色素(しきそ)を発生させるというわけです。まさに災い転じて福となす。東方美人は害虫の害を逆利用したものだったのです。産地は新竹、苗栗地方に集中しています。ウンカが飛来(ひらい)する5,6月の夏の短い期間だけに作られる貴重なお茶で、ウンカに食われた葉の部分を1枚1枚手摘みで収穫します。東方美人は発酵度が高く紅茶に近い味わいで、琥珀色(こはくいろ)のきれいなお茶です。ブランデーを数滴垂らしたおしゃれな味わい方も人気です。
単語・慣用語
ウンカ(浮塵子;白蠟蟲;小綠葉茶蟬)
災(わざわ)いを転じて福となす。(轉禍為福)中国史書「戦国策」燕策から
キーワード:ウンカ